〝テキスト音声読上げ〟評価用プログラム
🔰|監修(かんしゅう)のことば
近年、バリアフリー、ユニバーサルデザインという用語がよく使われるようになってきました。日本で使われている「バリアフリー」は、障害者や高齢者などの社会的な弱者が、社会生活を行う上で生活の支障となる物理的・精神的な障害を取り除くことを意味しています。しかし、英語のバリアフリーは、建物の段差を取り除くことしか意味していません。むしろ、アクセシビリティという英語が日本語のバリアフリーに一番近い意味を持っています。では、「ユニバーサルデザイン」とはなにか。ユニバーサルデザインとの基本的なコンセプトは「できるだけ多くの人が利用可能であるデザインにすること」です。バリアフリー・ユニバーサルデザインとは、すべての人にとって暮らしやすい環境を提供する可能性を|表(あらわ)している言葉であると言えるのです。
情報量の多くを占める視覚情報収集に限界のある視覚障害者にとって、情報を獲得することは、とても困難を伴います。収集の主な手段は、触覚と音声です。
牧師であり、教育者であった盲目の熊谷鉄太郎「1883~1979」は、かつて「盲人が多くの仕事ができるかどうかは、人の目をどれだけ使わせてもらったかの量に比例する」と言っています。現在では多くの先進機器類が、人の目の代わりになってきていると言っても良いのかも知れません。視覚障害者にとってバリアフリー・ユニバーサルデザインとは、支援から社会参画へのステップであるとも言えます。
さらに「障害者総合支援法」が平成25年4月1日に施行されました。この法律の基本的な概念は、障害を持つ人への、法に基づく日常生活・社会生活の支援が共生社会を実現するため。社会参加の機会の確保及び地域社会における共生、社会的障壁の除去に資するよう、総合的そして計画的に行われることです。障害者の社会参画の環境が整備され始めています。障害理解と障害者の社会進出の可能性を、本書を通じてぜひ理解して頂ければと考えています。
馬場景子「日本福祉大学講師」
📍美しい日本語を次世代に引継ぐ…
この度、障害者差別解消法に対応するために音声読上げプログラムを開発しました。
スマホはあなたの名前を正確に読んでくれますか。
〝音声読上げ装置〟開発の経緯【佐藤幸治】
スマホで自分の名前をメモに書くときには辞書を利用して候補から選ぶという行為を行います。
作成した文章を読み合わせのために「コントロールパネル」から「アクセシビリティ」の音声読上げ機能スイッチをオンにして、文字列を選択して「読上げ」を開始してもユーザー辞書は対応しません。
佐藤幸治は〝サトウ ユキハル〟と読上げるのです。
日本語特有の問題、漢字は音読み、訓読み、更に〝当て字〟まであるのですから開発者も対応できなかったのでしょう。
OS(オペレーティング・システム)レベルで日本語の読上げができないのであれば、創るしかありません。
そこで漢字の読み仮名、いわゆる〝るび〟に着目しました。
通常の文章はそのまま読上げ〝るび〟が振られている場合は〝るび〟を優先して読上げれば可能になります。
最初に開発された〝音声読上げ装置〟は『スピーチオ』です。
その読上げルール(テキストフォーマット)は
佐藤幸治 → 佐藤(幸治:コウジ)
(:)【半角】
青空文庫の場合は
佐藤幸治 → 佐藤|幸治《こうじ》
|《》【全角】
基本的にはこの二種類のフォーマットに対応すればテキストの音声読上げは可能になります。
因みに(ことせかい)の場合は
佐藤幸治 → 佐藤|幸治(こうじ)
|()【半角】
OSのパッチは難しいので、アプリを検討しました。しかし、現在、スマホのOSは「iOS」 と「Android」があります。「ブラウザ」なら、リソースが共有できるため、「JavaScript」で開発しました。従いまして、現在の〝音声読上げ装置〟はテキストをダイレクトに読上げることが可能になりました。
私の名前は佐藤|幸治(こうじ)です。
〝るび〟通り正確に読上げることができるようになりました。