〝テキスト音声読上げ〟評価用プログラム

🔰Ⅶ パソコン・|携帯端末(けいたいたんまつ)
1.「パソコン」の時代
 私は子供の頃、パソコンゲームが大好きでした。両親に制限時間を設けられても、留守を見計らって、こっそりやっているくらいでした。そのため、もともとの強度近視がさらに進行し、裸眼では鏡に映った自分の顔も見えなくなり、目を使うと非常に疲れを感じるようになりました。これではいけないと思い、ある時期からパソコンを一切触らないようにしました。
 強度近視で生活に不便を感じていたので、視覚障害者のリハビリテーションに関連した勉強をしたいと思ったのが、今から18年前の1997年でした。点字や朗読を学ぶつもりだった私を待っていたのは、先生の「これからは視覚障害者のリハビリテーションもパソコンの時代だ」という言葉でした。
 その学校では、視覚障害のある学生も学んでいました。パソコンを使って、画面に表示されている情報を音声で聞きながら、リポートを書いたり、資料を点字プリンタで印刷し、授業に備えていました。 
印刷する時間が無い時は、「点字ディスプレイ」という機器を使えば、印刷しなくても、パソコンの画面に表示された内容を点字で読むこともできました。
 授業では印刷物が渡されることも多かったのですが、それはスキャナで読み取って、音声で読み上げることもできました。100%正確に読み取ることはできませんが、とりあえず、印刷物の大体の内容を確認できました。正確さが必要なものは、学生ボランティアが、スキャナの読み取りで間違った部分だけを修正すれば済みました。そのうち、先生方も授業で使うデータをフロッピーディスクに入れて渡してくれるようになり、そのような作業も必要なくなってきました。
 私自身は、目が疲れるのでパソコンをあまり使いたくなかったのですが、パソコンに表示される文字を拡大したり、文字の色や背景色を変更することで、疲れを軽減できることに気づきました。
 私も両親も「目に悪い」と思い込んでいたパソコンが、視覚障害者の読み書きを可能とする道具として活用される時代が既に始まっていたのです。


2.インターネット
 ちょうどそのころ、「インターネット」という言葉が、段々と知られるようになってきていました。
 インターネットは視覚障害者の情報環境を大きく変えました。
 点字の手紙を書いていた時代は、相手が点字を知らなければ読んでもらえず、また、相手から墨字の手紙も、人に読んでもらわなければなりませんでした。手紙によっては知られたくない内容が書いてあり、お互いに困惑してしまうこともありました。でも、メールが使えるようになったことで、点字を読めない相手とも、秘密を保ちつつ、すぐに連絡をとりあうことができるようになりました。
 また、ホームページを検索し、さまざまな情報を知ることができるようになりました。
 銀行での手続きや、買い物などは、視覚障害者には大変な作業ですが、インターネットバンキングや、ショッピングなども利用できるようになり、自力で解決できる範囲が増えてきました。
 点字ボランティアの作成した点字データや、音訳ボランティアの作成した録音データを、インターネットを通じて入手することもできるようになりました。出版されるすべての書籍が点訳・音訳されるわけではありませんが、以前に比べたら、入手できる書籍は飛躍的に増えました。
 パソコンが無かった頃は、点字も音訳も間違ってしまった場合の修正が大変でした。パソコンによる編集ができるようになったことで、作成にかかる時間も大幅に短縮されました。話題の本を、何年も待たなくても、読めるようになりました。

3.学習環境
 パソコンは便利な機器ですが、目が見える人でも見えない人でも、その使い方を習得するのはなかなか大変です。
 それでも、目が見えていれば、マウスを利用して、画面上の必要な項目をクリックしながら、ある程度は直感的に利用することもできます。しかしながら、目が見えないと、マウスではなくキーボードによる操作が中心となるため、画面がどのように表示されているのかをイメージできないと、効率的に操作することができません。
 また、ソフトウェアによっては、どうしてもマウスによる操作が必要な場合や、表示項目を音声化できない場合もあります。
 数多くの情報が掲載されているホームページでは、知りたい情報を探そうとしても、大変時間がかかってしまうこともあります。 画像や動画が多く使われ、音声では必要な情報が確認できないホームページもあります。
 就労の場では、パソコンの利用は必須と言っても良い環境になりました。特にMicrosoft の Word 「ワープロ」、Excel 「表計算」、Outlook 「メール」、PowerPoint 「プレゼンテーション」などのソフトウェアは、広く使われています。画面情報の拡大化や音声化により、視覚障害者もこれらのソフトウェアを利用できますが、就労に必要なレベルに達するまでには、相当な時間の学習が必要です。
 視覚障害者特有の操作方法を学習できる場は少なく、決して恵まれた学習環境とはいえません。
 それでも、だんだんとユーザーも増え、お互いに情報を交換しながら学習し、それぞれの生活に合わせてパソコンを利用できる時代になってきました。
 まだまだ課題は残っているにせよ、情報のバリアフリー化は、以前と比べ、大きく進んだと言っても良いでしょう。


4.拡大読書器
 パソコンとは別に、印刷物を直接拡大表示する「拡大読書器」という機器もあります。据え置き型と携帯型があり、年々高機能化が進んでいます。画面は従来のブラウン管でしたが、今では液晶に変わり、画像をより鮮明に表示できるようになりました。文字を拡大するだけで無く、文字の色や背景色を変更することもできます。

5.携帯電話とスマートフォン
 携帯電話については、ほぼすべての操作を音声化している機器が、NTTドコモの「らくらくホン」しか無い、という時期がしばらく続きました。「らくらくホン」は、携帯電話を始めて使う人や、高齢者にも使いやすいように配慮され、機能を基本的なものに絞り、画面やキーも見やすい表示になっています。
 最近ではスマートフォンが急速に普及しています。音声を聞きながら操作できる機種には、Appleの「iPhone」とNTTドコモの「らくらくスマホ」があります。しかしながら、視覚障害者の中でスマートフォン利用者は、まだまだ少なく、携帯電話の「らくらくホン」を使い続けている人が依然として多いのが実情です。
 スマートフォンを使うには、今までなじみの無いタッチ操作を習得しなければならないことが、利用者が増えない理由の一つです。特にタッチ操作による文字入力を難しく感じる人が多く、小型の無線キーボードを利用する人もいます。
 一方、スマートフォンを使うことで、携帯電話には無かった便利さを得ることもできます。例えば、色やお札の種類、明るさを知らせたり、撮影した画像に書かれた文字を読み上げたり、さらには、カメラで撮影したものが何かを教えてくれる、画期的なアプリも登場しました。

6.タブレット
 タブレットは、ノートパソコンの画面だけを取り外したような形をしています。
 キーボードの部分が無いため、パソコンよりも軽量ですが、使うためにはスマートフォンと同じく、タッチ操作の習得が必要です。
 現在利用可能な機種はApple社のiPadシリーズと、各種メーカーのWindowsやAndroidの機種です。
 Apple社の「iPad」は、「iPhone」と同じく、音声を聞きながら操作できる機能がはじめから備えられています。
 Windowsタブレットには、Windowsパソコンと同じ読み上げソフトウェアをインストールすることで、音声を聞きながら操作できます。キーボードを接続すれば、Windowsパソコンとほぼ同じように使用することができます。
 Androidタブレットも、専用の読み上げソフトウェアをインストールすることで、音声を聞きながら操作できます。

7.他の障害分野での利用
 これまで、障害者分野での情報機器について紹介してきましたが、他の障害分野でも、情報機器は広く利用されています。
 視覚障害者のための要約筆記や筆談システム、肢体不自由者のための指やまばたきなどによる入力を可能にする機器などはその一例です。
ホームページ等の音声化対策作業のことなら《 エムソリューション株式会社 担当:村北 》が承ります。
📍美しい日本語を次世代に引継ぐ…
この度、障害者差別解消法に対応するために音声読上げプログラムを開発しました。

スマホはあなたの名前を正確に読んでくれますか。
〝音声読上げ装置〟開発の経緯【佐藤幸治】

スマホで自分の名前をメモに書くときには辞書を利用して候補から選ぶという行為を行います。
作成した文章を読み合わせのために「コントロールパネル」から「アクセシビリティ」の音声読上げ機能スイッチをオンにして、文字列を選択して「読上げ」を開始してもユーザー辞書は対応しません。

佐藤幸治は〝サトウ ユキハル〟と読上げるのです。

日本語特有の問題、漢字は音読み、訓読み、更に〝当て字〟まであるのですから開発者も対応できなかったのでしょう。
OS(オペレーティング・システム)レベルで日本語の読上げができないのであれば、創るしかありません。
そこで漢字の読み仮名、いわゆる〝るび〟に着目しました。
通常の文章はそのまま読上げ〝るび〟が振られている場合は〝るび〟を優先して読上げれば可能になります。
最初に開発された〝音声読上げ装置〟は『スピーチオ』です。
その読上げルール(テキストフォーマット)は
佐藤幸治 → 佐藤(幸治:コウジ)
(:)【半角】

青空文庫の場合は
佐藤幸治 → 佐藤|幸治《こうじ》
|《》【全角】

基本的にはこの二種類のフォーマットに対応すればテキストの音声読上げは可能になります。

因みに(ことせかい)の場合は
佐藤幸治 → 佐藤|幸治(こうじ)
|()【半角】

OSのパッチは難しいので、アプリを検討しました。しかし、現在、スマホのOSは「iOS」 と「Android」があります。「ブラウザ」なら、リソースが共有できるため、「JavaScript」で開発しました。従いまして、現在の〝音声読上げ装置〟はテキストをダイレクトに読上げることが可能になりました。
私の名前は佐藤|幸治(こうじ)です。
〝るび〟通り正確に読上げることができるようになりました。