〝テキスト音声読上げ〟評価用プログラム
🔰Ⅵ 多くの人に役立つパックや容器の|工夫(くふう)
最近はレトルトパックなどの食品が増え、「電子レンジにかけるだけ」、「お湯で温めるだけ」、「袋から出して焼くだけ」で美味しい料理が食べられるようになってきました。多くの人、とりわけ時間に追われる現代人には助かる工夫です。
ところがどんな便利な食品でも、視覚障害者にとっては中身が何なのかが分からなければ選ぶことができません。レトルトパックだけでなく、紙パック、プラスチック容器に入ったもののほとんどは、包装やケースの表面に文字が書かれているものが多く、触って中身を区別することがとても難しいのです。
そこで様々な企業や各業界団体は、視覚障害者当事者の声を聞いて、どのようにすれば使いやすくなるのか工夫を凝らしています。
ここでは、障害者団体、企業、業界団体、ルール作成団体や国等が一緒に考えた工夫を一部ご紹介します。
1. シャンプーのきざみとボディソープのライン
シャンプー、リンス「コンディショナー」に加え、ボディソープの普及で私達の入浴は過ごしやすく清潔に保つことができるようになってきました。
しかしこれらの容器のほとんどは同じような形をしています。視覚障害者にとって、同じ形の容器の中身を区別することは簡単なことではありません。
花王株式会社は、1991年にシャンプー容器に第1号となる「きざみ」をつけて発売しました。視覚障害児・者等の不便さの声を聞き、試行錯誤を重ねて誕生した工夫です。気付いてましたか?
目の見える人の中には「滑り止めだと思っていた。今まで知らなくて恥ずかしい」と言う人もいます。自分に必要のない工夫はなかなか気がつかないものです。また、視覚障害者でも「この工夫を知らずに輪ゴムを巻いていました。今日から巻かなくても良くなります。」と言った方(かた)もいました。気付いた時に覚え、必要な時に人に伝えていただければいいなと思います。
余談ですが、視覚障害特別支援学校で、シャンプーのきざみのことを知ってとても喜んでくれた子供がいました。その時、「もう一つ発見した!」と教えてくれたことがありました。それは「かおり」でした。たまたま持参したシャンプーとリンスは、同じメーカーで同じシリーズでしたが、かすかに「かおり」が違いました。
この子の発見した工夫は、他の誰かにも役立つ素敵な工夫だと思います。
さてシャンプーの容器には「きざみ」が付いていることをお伝えしました。2015年の初夏からは、ボディソープの横に「ライン」の触覚記号が付いた容器が発売されています。昨年、この決まりが作られたので、まだまだ生まれたての工夫です。これからスーパーやドラッグストアなどで見かけるようになると思いますが、探すことが楽しみの一つにもなりそうです。
2. 牛乳パックの切欠き
似たような容器に紙パック飲料があります。本当はすべての飲料を区別できる何か工夫があると良いのですが、特に不便なことは「牛乳パックとその他の飲み物の区別」でした。そこで様々な検討を重ね、牛乳パックの容器上部には、一つだけ半円の切り欠きをつけることが決まりました。これは100%の生乳のみに付けられるしるしです。また、切欠きの反対側は開け口ということが分かります。
3.アルコール飲料の点字と表示
視覚障害者にとっては、似たような形状の缶飲料の中身も区別ができません。
特にアルコール飲料とジュースを始めとするその他の飲み物を区別することは、間違って飲むことを防ぐためには大事な配慮です。
そこで、アルコール飲料メーカーは、アルコール飲料の缶の上部に「おさけ」と点字を付けました。また缶の様(よう)に「お酒」と文字で書くことも決めています。
これらの配慮は、目が見えない人にとっても助かるものですが、点字の読めない人や小さな子供達にも「缶の上部に点字「点々」があるものは、アルコールなので飲まないように」と伝えることで、間違ってのむことも防げます。
この他にも、容器の上部などに点字で商品名が書いてある食品や調味料なども多くなってきました。点字の読める視覚障害者には便利です。まだまだ普及していませんが、商品に印刷されたバーコードから、商品情報や賞味期限など必要な情報が、モバイル端末を使って入手できる技術も開発されています。
また、手の不自由な人に配慮した開けやすい容器は、小さな子供達、若い女性や手の力が弱い高齢者にも助かります。
調味料が入っている小さな袋は、文字は小さくて読めないものもあり、切り口が見えにくいものもありますが、長方形や正方形の袋のどこか一辺は、どこでも容易に切れるようになっているものがあります。これなら弱い力でもだれでも簡単に開けることができます。もちろん、食品は安全第一なので、簡単に開けられることは危険なため、少し固めになっているものもあります。しかし、企業は安全に配慮しつつ、可能な限り障害者や高齢者、そしてより多くの人が使いやすいような工夫を日々模索しています。
障害者のための工夫は、より多くの人達にとっても助かる工夫になるのです。
📍美しい日本語を次世代に引継ぐ…
この度、障害者差別解消法に対応するために音声読上げプログラムを開発しました。
スマホはあなたの名前を正確に読んでくれますか。
〝音声読上げ装置〟開発の経緯【佐藤幸治】
スマホで自分の名前をメモに書くときには辞書を利用して候補から選ぶという行為を行います。
作成した文章を読み合わせのために「コントロールパネル」から「アクセシビリティ」の音声読上げ機能スイッチをオンにして、文字列を選択して「読上げ」を開始してもユーザー辞書は対応しません。
佐藤幸治は〝サトウ ユキハル〟と読上げるのです。
日本語特有の問題、漢字は音読み、訓読み、更に〝当て字〟まであるのですから開発者も対応できなかったのでしょう。
OS(オペレーティング・システム)レベルで日本語の読上げができないのであれば、創るしかありません。
そこで漢字の読み仮名、いわゆる〝るび〟に着目しました。
通常の文章はそのまま読上げ〝るび〟が振られている場合は〝るび〟を優先して読上げれば可能になります。
最初に開発された〝音声読上げ装置〟は『スピーチオ』です。
その読上げルール(テキストフォーマット)は
佐藤幸治 → 佐藤(幸治:コウジ)
(:)【半角】
青空文庫の場合は
佐藤幸治 → 佐藤|幸治《こうじ》
|《》【全角】
基本的にはこの二種類のフォーマットに対応すればテキストの音声読上げは可能になります。
因みに(ことせかい)の場合は
佐藤幸治 → 佐藤|幸治(こうじ)
|()【半角】
OSのパッチは難しいので、アプリを検討しました。しかし、現在、スマホのOSは「iOS」 と「Android」があります。「ブラウザ」なら、リソースが共有できるため、「JavaScript」で開発しました。従いまして、現在の〝音声読上げ装置〟はテキストをダイレクトに読上げることが可能になりました。
私の名前は佐藤|幸治(こうじ)です。
〝るび〟通り正確に読上げることができるようになりました。